セルフプロデュース・コントロールに秀でた、憧れのあのビジネスリーダー。
毎日忙しく働く中で、どのように情報を取り込んで効率的に使っていくのか?その秘密を聞いてみました。
トリンプ・インターナショナルの社長として、「がんばるタイム」「早朝会議」「残業ゼロ」「管理職の連続16日間休暇取得義務」といった斬新な取り組みを次々に実行し、同社の売り上げを5倍にまで伸ばした吉越浩一郎氏。一線を退かれた現在も、講演や執筆など盛んな活動を続けていらっしゃいます。オイシックスの高島社長に続き、その元祖「革命社長」吉越氏に、情報に対する考え方や情報整理のコツ、情報感度を磨く方法を伺いました。
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吉越 社内の情報が何より大切だと考えていました。現場とコンタクトを取って、会社の中で何が起きているかを常に把握しておけば、決断のスピードも速くなるし、問題解決もスムーズにできるからです。
特に重視していたのは、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションです。8時半からの早朝会議を毎朝開いていたのも、人間、顔を見合わせながら話さなきゃダメだと考えたからです。互いの顔を見ながらのコミュニケーションでやりとりされる情報量って、すごく多いんですよ。文面だけのメールとは比べものになりません。
吉越 新聞もビジネス誌もたくさん読んでいましたが、「広く浅く」というのが基本的なスタンスでしたね。「自分の会社に役立つ情報はないか」と常にアンテナを張っておいて、そこに引っかかったものを深掘りしていくというやり方です。逆に、何の関係もないと思ったら、どんどん読み飛ばしていました。情報は膨大にありますから、そうしないと処理しきれません。
深掘りする時に活用したのは書籍です。雑誌などで興味のある記事を見付けたら、それに関連する本を何冊も買って机のそばに重ねておくんです。記事のコピーを一冊一冊に挟んでおいてね。だから、机の周りにはいつも本が山のように積まれていましたよ(笑)。
吉越 自分の中にある情報の構成を三角形で考えると、下の土台の部分は教養、つまり、比較的時間に左右されない普遍的な知識ということになります。一方、三角形の頂点に近いところは、刻々と更新されていく情報です。最近は、その新しい情報と教養の間に当たるグレーゾーンが面白いと感じています。新たに仕入れた情報のうち、特に大切だと思うものをグレーゾーンに入れて、それを徐々に三角形の土台の方に移していく。そして自分の確かな教養とする。その作業が楽しいですね。
吉越 最近は、グーグルドキュメントを活用しています。気になった記事などは、どんどんスキャンして、ネットにアップしておきます。そうすれば、海外に行った時でもすぐに情報を引き出せますからね。
それから、これは情報整理法といえるのかどうか分かりませんが、とにかく睡眠をたっぷり取ることを心がけています。パソコンの動きが遅くなると、再起動をかけますでしょ。そうすると、混乱していたパソコンの頭脳が整理されて、きちんと動くようになる。その再起動に当たるのが、人間にとっての睡眠なんですよ。睡眠不足で夜遅くまで残業するのは、反応が遅くなったコンピューターをむりやり動かしているようなものです。そういう時はさっさと寝てしまって、早起きして仕事をした方がいいんです。すっきりした頭で仕事をすれば、昨日あんなに時間が掛かっていた問題が簡単に片付いてしまうということがよくある。つまり、人間の頭は、寝れば勝手に情報を整理してくれるようにできているわけです。欧米のエグゼクティブに聞くと、みんな8時間は寝ているといいますよ。日本人は睡眠時間が短すぎるんです。
後編は、吉越氏の愛読する『日経ビジネス』を活用した情報編集法などを分かりやすくお伝えいたします。
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1947年千葉県生まれ。ドイツのハイデルベルク大学留学後、72年に上智大学外国語学部ドイツ語学科を卒業。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパン、メリタ香港を経て、83年にトリンプ・インターナショナルの香港オフィスに入社。86年よりトリンプ・インターナショナル・ジャパンに移り、翌年、代表取締役副社長に就任する。92年から2006年まで代表取締役社長。『仕事が速くなるプロの整理術』(日経BP出版センター)、『「残業ゼロ」の仕事力』(日本能率協会マネジメントセンター)、『吉越式会議』(講談社)ほか著書多数。
・若手経営者の情報収集術(前編)
・若手経営者の情報収集術(後編)
・ベテラン経営者の情報収集術(前編)
・ベテラン経営者の情報収集術(後編)
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