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どんと来い、リスクマネジメント

【第10回】<br />不正の防止(1) 不正の要因
【第10回】
不正の防止(1) 不正の要因
更新日: 2008年02月07日

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「どんと来い、リスクマネジメント」
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 前回は、「コンプライアンスとリスクマネジメント」として、コンプライアンスとリスクマネジメントとの接点についての話をしました。今回は、リスクマネジメントは何からできているのかについて話をすることにしていました。しかし、世の中では不祥事が続いていることから予定を変更して引き続きコンプライアンスに関係する内容として、「不正の防止」のポイントについて話をしたいと思います。今回は、その第1回として不正の要因について話をします。

●相次ぐ不正
 金融商品取引法が改正され、上場企業に対して内部統制報告制度が平成20年4月から導入されることになりました。このため、上場企業の多くがその対応に取り組んでいるところです。そもそもこの制度の導入の背景には、有価証券報告書の虚偽記載が相次いだことがあります。しかし、不正は有価証券報告書の虚偽記載にとどまりません。最近の主な法令違反等が疑われる不正と考えられる事例を挙げると次のようなものがあります。

  ・食品表示の偽装
  ・材料強度の偽装
  ・配合割合の偽装
  ・商品成分の偽装


以上は、表示を偽ったというものですが、それ以外にも、

  ・労働基準法に違反した労働をさせていた事例
  ・総会屋への利益供与

などがあります。このような不正の事例は、法令等の知識が十分でなかった場合もあるでしょうが、法令等に違反していることを知りつつ、不正を働いていた場合も多いでしょう。前者は結果的には不正な事例となっていますが、意図的でないという意味で一般的には誤謬といわれます。今回は、意図的である不正に注目して、不正に対する対策についての話をします。

●不正の要因
 まず、不正の要因を考えて見ましょう。不正が起こる背景には一般に次の3つの要因があるといわれています。
  1. 不正を働く動機・プレッシャー
  2. 不正が働ける環境
  3. 不正に対する姿勢・正当化




 それでは、3つの要因を順番に簡単に説明していきましょう。

 「不正を働く動機・プレッシャー」にはいろいろと考えられます。多額の遊興費を使い借金を背負っている人は、会社のお金を盗もうという動機が一般の人よりも働くでしょう。また、人事評価に影響が及ぶことを恐れて営業ノルマを達成しなければならないと強く思っている人は、架空の売上を計上するかもしれません。一般的にこの動機・プレッシャーは、責任が重い職責の人には、より重い不正への動機やプレッシャーが働くといわれています。
 さて、動機・プレッシャーには、「自らの利益のために働く不正」と「会社のために働く不正」の2つがあると言われる場合があります。前者の例として、「会社のお金を横領する」、「架空の売上を計上して自分のノルマを達成する」などが、あげられる場合があります。一方後者の例として、「会社が有利な資金調達ができるようにするために粉飾決算をする」などがあげられる場合があります。しかし、最終的には会社の利益も経営者といった個人に最終的には帰着することが多いように思います。そういう意味では、このような分類はあまり意味がないと思っています。会社のために働く不正というのは、経営者の利益のための不正であり、その経営者から良く見られたいという担当者のための不正と考えることもできるからです。

 「不正が働ける環境」というのはどうでしょうか。目の前に100万円の札束があります。誰も見ていません。盗んだとしても誰が盗んだのかばれそうにありません。こういう環境があれば、何人かは100万円の札束をつかんで逃げてしまうかも知れません。また、上司が交際費の妥当性のチェックをしていない状態であれば、部下は私用の飲食を交際費として申請してしまうかもしれません。チェック機能に不備がある場合に不正が働ける環境となります。

 最後に「不正に対する姿勢・正当化」というのはどうでしょうか。横断歩道で赤信号が青に変わるのを待っていたとしましょう。まだまだ信号は変わりそうにありません。また、車はまったく来ていません。そのとき、何人かが信号無視をして赤信号を渡りだしました。そのうちほとんどの人が渡りだしました。あなたはどうしますか。あなたの心の声はどうでしょうか。「みんなが渡っているし、安全は自分で確認しているから、この程度の信号無視はいいのではないか。」と言っていませんか。これが、不正の正当化です。

 不正に対する姿勢・正当化は、個人の倫理観に行き着きます。つまり、個人の心持の問題です。一番もろくもありますが、実は最後の砦でもあります。この点を十分に理解することが重要となります。

 不正の3つの要因の概要が分かりましたでしょうか。これらの3つの要因がそろうと不正が起こると言われています。逆にいうと、これらの3つの要因がそろわないようにすることで不正が防げることになります。



 今回は、「不正の防止(1) 不正の要因」として、不正の要因について説明してきました。次回から「経営者による不正」や「担当者による不正」をどのようにしたら防げるのかを考えて生きたいと思います。次回は、「不正の防止(2) 経営者による不正と担当者による不正」について説明したいと思います。

≪次回は2月14日公開予定≫


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丸山満彦《まるやま・みつひこ》
公認会計士。大手監査法人に在籍 パートナー。
1992年大手監査法人に入社。1998年〜2000年米国の監査法人に勤務。
帰国後、リスクマネジメント、コンプライアンス、社会的責任、情報セキュリティ、
個人情報保護関連のコンサルティングを実施。

情報セキュリティ関連の政府委員を歴任。
内閣官房情報セキュリティセンター兼務。
情報システムコントロール協会(ISACA)東京支部理事
日本セキュリティ監査協会(JASA)幹事
デジタルフォレンジック研究会監事
JPCERT/CC監事
日本監査研究学会会員
情報ネットワーク法学会会員


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