【特集】
総合共育研究所
コストをかけない最高の組織創りとは(下)
社員のモチベーション向上が重要
前号では、メンター制度の概要をご紹介しましたが、今回は、その内容やメリットを述べたいと思います。
企業がメンター制度を導入する場合、様々な階層において多様な目的で導入しています。
その目的とは、離職率の引き下げ、生産性の向上、ナレッジの共有・形式知化、スキルの共有・伝授、組織の風土改善、理念の浸透、キャリアの開発、メンタルヘルスの向上などが挙げられます。
そのなかでも最近多いのが、やはり新入社員育成のためのメンター制度です。離職率をどうにか下げたいと導入する企業が増えています。
地方のある中小企業では、現地での採用と都会での採用とを並行して実施していましたが、ある年に離職率が3割を超えてしまう事態に陥りました。そこで、メンター制度を導入したところ、その年から現在まで5年間、1人も離職しないという例もあります。
また、ある外資系企業では、海外で採用した日本人新入社員にメンターを付け、日本の組織文化への適応や仕事の進め方を支援する仕組みを作り、効果を上げています。
いずれにしても、社員(新入社員だけではなく)は、適切な支援を受けると成長します。そして、成長するのは、支援を受けた方だけではなく、支援をした方(メンター)も同時に大きく成長します。
それでは、メンター(支援者)とはどのような存在でしょうか。一言で言うと、支援マインドを持ち、メンティ(被支援者)の仕事への内発的モチベーション(強制や押し付けではなく自分からやりたいという動機)を高め、自発的行動を誘発し、課題の達成や問題の解決に到達できるよう随所において支援する人です。
ややハードルが高いと感じるかもしれませんが、メンターとしての姿勢とスキルを身につければ、誰にでも実行できます。
そして、このメンター制度と切っても切れないのが「ミッションマネジメント」です。これは、企業活動の全て(戦略、組織、人材、業務、風土及び文化レベル)において、ミッション(理念)を最優先に据え、統合するという考え方と手法です。
メンター制度との関係を簡単に表現すると、メンター制度は、組織に張り巡らされたパイプのようなもので、そのパイプの中を流れるのは、組織のミッション(理念)に当たります。
メンターがメンティを支援する場面では、抱えている問題の内容に関わらず、常に組織のミッションに結び付けて話されています。 今、企業が厳しい外部環境下で生き残るためには、社員一人ひとりのモチベーションの向上と組織の方向性とを結びつけた施策の実施が求められているのではないでしょうか。(大野雅之)
(フジサンケイビジネスアイ 2008年4月28日掲載)
(ベンチャーファクトリーニュース 2008年7・8月号掲載)
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大野 雅之(おおの・まさゆき)
日本の大学で教育学を専攻した後、渡米。州立オレゴン大学大学院修了。海外の教育機関や教育プログラム実践者を訪問し、グローバルな教育モデルを模索。東洋と西洋を統合するホリスティック教育を目指し、広範囲の教育ツールを研究・開発。現在、統合共育研究所所長。企業の人材教育の分野で価値のブレイクスルーを通じてモチベーションを高める独自の手法を開発。多くの企業に対して、メンター制度の導入コンサルティングの実績を持つ。

