1.牛丼業界を分析

さて、今回のテーマは、庶民の味方、牛丼業界です。取り上げるのは、吉野家(9861)とゼンショー(7550)。

吉野家が270円の割引価格を発表したかと思えば、ゼンショー傘下のすき家は250円に値下げを発表と、両社の価格競争が激化しています。
吉牛(「吉」野家の「牛」丼)といわれるほど、かつて、日本の牛丼業界は吉野家の独壇場でした。
しかし、狂牛病問題でブレーキがかかってしまった吉野家をゼンショー等が急追し、 2008年にはゼンショー傘下のすき家が店舗数で日本一に立ち、逆転を果たしています。

■売上高・利益の推移

それでは、まず、吉野家とゼンショーの売上高・利益の推移を見ていきましょう。
図1は左から、売上・営業利益・純利益を表しています。

まずは赤色の吉野家。売上は2005年に一度大きく落ち込んだものの、全体としては上昇を続けており、2009年の売上は約1,700億円。2005年といえば、米国産牛の狂牛病問題があった年です。吉野家は米国産牛を使用していたため牛丼の販売は一気に落ち込み、営業利益・当期純利益ともに赤字となってしまいました。

その後、売上は持ち直したものの利益水準はなかなか回復してきません。それどころか2010年には再び赤字となることが発表されました。子会社の不振もあるようですが、何より本業である牛丼部門の落ち込みが大きく業績回復には時間がかかりそうです。

次に、青色のゼンショーを見てみましょう。ものすごい勢いで売上が増えており、2000年に170億円ほどだった売上が2009年の時点では3,100億円と、なんと18倍にもなっています。私たちはそんなにもすき家の牛丼を食べるようになったのでしょうか?

答はノーです。たしかにすき家そのものの業績も伸びていますが、むしろゼンショーの成長はM&A(合併と買収)によるものです。例えば、なか卯・ココス・サンデーサン等々です。

ただ、M&Aすべてがうまく行っているわけではありません。カッパクリエイトやあきんどスシローといった回転寿司に対するM&Aは一度株式を保有していましたが結局手放してしまいました。また、ウェンディーズの事業も2009年末で取りやめています。

停滞気味の外食産業においてこれだけの高成長を見せるゼンショーは異色の存在です。その秘訣は柔軟性のあるM&Aにあるといえるでしょう。