カバンづくりの基本はこだわりとバランス

企画部
小林剛氏
小林剛氏は、入社4年目の若手デザイナーだ。若手ではあるが、すでに自らの企画を製品化するなど、吉田カバンの“ものづくり”を支える貴重な戦力である。
小林氏が企画した製品の1つが「PORTER JAM(ポーター ジャム)」(以下、JAM)である。これは小林氏自身の興味関心のある分野からアイデアが生まれたカバンだという。アイデアの源泉となったのは夏の野外フェスティバルだった。
「企画部内ではいつも『どこから着想してもいいが、日常使いの道具であることを忘れるな』と言われれていました。JAMの発想は、雨が降っても大丈夫な耐水性、混雑するステージ前でも邪魔にならないデザインです。これは、野外フェスティバルだけでなく、日常的に使うものとしても、便利なカバンになるのでは…。そこから考えていったカバンです」(小林氏)。

小林氏が企画、製品化した「PORTER JAM(ポーター ジャム)」。JAMのラインアップには、財布やコインケースもある
素材のターポリンには特にこだわった。テントなどに使われる素材で、耐水性は問題なく、強度もあり機能性としては十分だった。企画会議に提案を上げると、上司から「素材の風合いをもう一度検討するべきだ」と指摘された。小林氏は、ターポリンを何とか生かせないかと手を尽くし、生地を風呂場で洗い、ストーンウォッシュ風に加工。その見本を上司に見せて、機能面でもデザイン面でも説得したという。
製造工程について小林氏は「職人さんとの打ち合わせで、100パーセント自分の考えを通そうとは思いません。カバンづくりに関しては、自分よりもはるかに知識も経験もあるわけですから。でも譲れない部分は、職人さんに難しいと言われても、どうやったら実現できるか徹底的に話し合います」と語る。
JAMでは素材が、機能面からもデザイン面からも「これだけは絶対に譲れない」というポイントだった。どうやったら製品ラインに乗せられるか職人と話し合い、知識と経験に助けられながら、小林氏はJAMの製品化を進めていった。こうして野外フェスティバルから生まれたアイデアが、新製品として実現したのである。











