『世界初』のヘッドホンを開発しよう!
ソニーのチーム力とは 後編
ソニー株式会社
MDR-NC500D開発チーム
世界で初めて、ノイズキャンセリング機能のデジタル化に成功したソニーのヘッドホン「MDR-NC500D」。その開発には数々の困難が存在した。その中には、技術者が思い描く理想と、一般ユーザーの要求のズレもあった。技術者、マーケティング担当も一体となって、世界初、世界最高音質を目指したソニー開発チームとは、どのようなチームだったのだろうか。
クロスカテゴリーなチーム編成
前編でも述べたように、このチームの最大の特徴は、それぞれのスタッフが、自分の専門分野以外に関しても、ある程度の知識を持ったクロスカテゴリーな編成になっていたことだ。
通常の製品開発では、自分の分野だけに注力することが多いが、世界初の製品だけに、各開発者の意気込みも大きく、自らの担当分野以外への注文も活発に出された。注文をもらった担当者は、その要求を超えるものをなんとか実現しようとする。そして、他部門の担当者にも、さらなる改良を求める。
このように、分野を超えた「クロスカテゴリー」な切磋琢磨ができたからこそ、世界初の開発にも成功したのだという。

オーディオ事業本部
第3ビジネス部門
水内 崇行氏
そして開発を始めて約1年後の2007年の春。試作の第1号機がようやく完成し、社内デモンストレーションが行われた。ハードウェアの設計担当と共に、今回のプロジェクトのリーダーも務めたオーディオ事業本部 第3ビジネス部門の水内崇行氏は、そのときの模様をこう語る。
「この段階では小型化は行われておらず、とりあえず基板を3段積みのワゴンに載せてのお披露目となりました。そのあまりの大きさに、『これ全部がヘッドホンのパーツ?』と、みんな一様にびっくりしていたようです。もちろん、開発チームとしては、その後、小電力で駆動させるために回路をどんどん小型化し、なおかつキャンセリング性能と音質も向上できると確信していましたが」
その予想通り、ここから開発チームは急ピッチで小型化を進め、音質・ノイズキャンセリング機能もさらに向上させ、製品化目前までこぎつけた。しかし、技術者がいかに「素晴らしい」と思っていても、肝心の一般ユーザーが理解できなければ意味がないと、商品企画部門などは危惧を抱いた。

