『世界初』のヘッドホンを開発しよう!
ソニーのチーム力とは 前編
ソニー株式会社
MDR-NC500D開発チーム
回りの騒音を除去してくれる、ノイズキャンセリング機能搭載のヘッドホンが今静かに市場を拡大している。世界で初めてこの機能のデジタル化に成功したのが、ソニーの「MDR-NC500D」だ。世界初の機能への挑戦と、世界最高峰の音質の追求をあきらめなかったソニーの開発チーム。今回は、このプロジェクトの軌跡を追いながら、そのチーム・スピリットに迫っていく。
デジタル化によって高音質のサウンドを再生
ノイズキャンセリングヘッドホンは、アメリカから市場が拡大した商品だ。アメリカでは移動に飛行機を多用する。そんな機内の騒音の中でも、クリアにサウンドを楽しみたい、というニーズからこの商品は生まれた。その仕組みは、ヘッドホンにマイクを設け、周囲の騒音を収集・解析し、音楽とは関係ないノイズを除去するというものだ。
従来のノイズキャンセリング機能は、これをアナログ信号処理によって行っていた。しかしこの方式では、ノイズを除去する際に、カットする必要がない音までも除去される場合もあった。そのため、キャンセリング機能が高いものは、音質が悪いという問題が生じていた。
これに対してソニーは、世界で初めて、騒音のデジタル処理に成功し、カットしたいノイズの周波数だけを選ぶといった、きめ細かなノイズキャンセリング機能と、高品質な音の再生を実現した。

オーディオ事業本部
第3ビジネス部門
角田 直隆氏
開発開始のきっかけは、ヘッドホンの音響設計を担当する角田直隆氏が、アナログのノイズキャンセル機能付きのヘッドホンをいくつか開発した後、エポックメイキングな次世代商品を求めたことだ。そこで思いあたったのが、15年ほど前の自分自身の体験である。角田氏はこう振り返る。
「ソニーはオーディオの分野でも先進的な基礎研究を行っていて、そのなかに当時研究中だった、デジタルノイズキャンセリング技術もありました。実際に試作機の音を聞かせてもらったのですが、音質はすばらしかった。とはいえ、当時は電子回路技術なども未成熟で、消費電力が膨大で、商品の小型化が見込めなかったことなど、商品化など夢のまた夢という状態でした」

