東京育明会理事長
近藤光一さん

理事長と町医者、二足のわらじ

理事長として忙しい日々を送る近藤さんだが、医師として診察も行う。

最近嬉しいことがあった。

「あやせ駅前整形外科・内科」に、患者の男性から、「大阪に住む母が今、東京に来ているのだが、最近体のあちこちの痛みや足のしびれを訴え、歩くのにも支障がある。大阪の3院では原因がわからず困っているので診てほしい」との連絡があった。近藤さんは来院した女性を丁寧に診察。話を聞き検査をしたところ、加齢などで背骨が変形し、神経が通る管が狭まって痛みやしびれが起こる「腰部脊柱管狭窄症」が原因であることがわかったのだ。近藤さんはこの女性に、病気や治療方法について説明し、必要ならば専門医を紹介する旨じっくり話した。するとこの女性は、憑き物が落ちたように落ち着き、来た時とは全く違う軽い足取りで帰っていったという。

後日この女性からは、近藤さんへの感謝と、診察のお陰で生活ががらりと変わったと書かれたメッセージカードが届いた。「患者さんの役に立ったことが本当に嬉しかった」と近藤さんはこのカードを大切にしている。

患者さんの身近な悩みを解決してあげたい

「医師であり、医療法人の理事長」と言うと、親や親戚からそれらを引き継いだ「二世」を想像するが、近藤さんは自分で開業し、グループをここまで大きくしてきた。

近藤さんの父は、元新聞記者のビジネスマン。ぜんそくだった近藤さんには、よく診察してくれた大好きな小児科医の伯父がいた。「ほかの医者に診てもらっても全然良くならないのが、伯父に診てもらうと良くなるんです。『将来医者になるのもいいな』と、漠然と思っていました」(近藤さん)

そして東京医科歯科大学に入学した近藤さんは、専門に整形外科を選ぶ。「外科系の医師の方がさっぱりした感じの人が多かったんですよ。それに、『痛い』『つらい』『体が動かない』などの、患者さんの身近な悩みを解消してあげることができる整形外科には、大きなやりがいを感じました」と近藤さんは振り返る。

整形外科を選んだ近藤さんだが、本来は血管外科で診るので専門外とも言える「下肢静脈瘤(りゅう)」に出会う。

静脈は、手足で使われた老廃物を含んだ血液を心臓に向けて運ぶ血管だ。重力に逆らって下から上に血液を送るため、足の静脈には、血液が逆流しないように「弁」がついている。この弁が壊れ、血液が逆流して静脈が膨らみ、瘤(こぶ)のようになるのが下肢静脈瘤だ。自然に治ることはなく、徐々に悪化し、瘤が大きくなったり皮膚に色が付いたり硬くなったりする。立ち仕事の人や、高齢の女性にも多い。患者は1,300万人と言われており、4人に1人がかかるとも言われるが、見た目でわからない場合も多い。