発想を引き出すアイデアボード

「打合せの時、議題となる項目をリストアップして臨むのですが、そのたびに不便だと思うことがありました。従来のノートだと、打合せ内容を書き留めているうちにページが進んでしまい、事前に用意した議題リストを確認しようとすると、何ページも前に戻らないといけませんでした。どうやらノートには、これまでの書き留める(ストック)という機能だけでなく、常に参照できる(リファレンス)という機能も必要なのではないかと考えました。」と小山さん。

これまでのノートに欠けていた常に参照できるリファレンススペースを加える。このコンセプトに基づいて誕生したのが、このHACKS!ノート。その最大の特長が“アイデアボード”だ。「ノートの裏表紙が広がる構造になっていて、そこに付箋を貼り情報を書き出せます。ここであれば、ノートをいくら書き進めてもいつでも参照できますよね。」多方面で活躍する小山さんのアイデアはここから生まれているようだ。「“アイデアは、すでに知られている要素の新しい組合せ”です。ノートにはすでに知っている情報がたくさんつまっていますが、そのなかから新しい組合せを見つけることが、アイデアを生み出す秘訣です。

今までのノートでは、一度書かれてしまった情報は、そのままページの中に埋もれてしまいました。しかしこのHACKS!ノートでは、各ページから情報を抽出して“アイデアボード”に書き出すことができます。そのため、情報を組み合わせることが容易になり、アイデアが生み出しやすいのです。HACKS!ノートは、アイデアを引き出す、これまでにないアウトプット型のノートと言えます。」

マンダラートで思考を加速する

もはやHACKS!ノートは、小山さんにとって欠かせない仕事道具のひとつになっているようだが、アイデアボードを使ううちに、目的にあわせた様々な活用法に気付いたという。「ノートを開くとアイデアボードが必ず目にとまります。そこでスティッキーノートのTo Doリストを貼っておくようにしました。そうすると常にTo Doをチェックすることができ、仕事のやり残しが激減したのです。To Do管理ノートとしても重宝しています」ほかにも、いろいろな文具と組み合わせて使えるという。

「たとえばこの方眼タイプのメモパットとの組合せもいいですね。3x3のマトリックスチャートであるマンダラートを書き込みやすくなっていて、さらにスムーズにアイデアを引き出すことができます。マンダラートのいいところは、空欄の威力を発揮できるところです。3×3の9マスのうち、まず中央にテーマを書くのですが、そうするとまわりの8マスを埋めたいという気持ちがわき起こります。それがモチベーションとなって、アイデアが生まれるのです。クロスワードや数独に熱中するのと同じで、人間には空欄を埋めたくなる習性があるようです。」

To Doにしてもマンダラートにしても、こうしたフォーマットを使うことによって思考を活発にする効果があるのだとか。「ちなみにこのメモパッドは名刺サイズに切り取ってストックできるので、書き出したマンダラートを保存しやすいところもいいですね」

ビジネスにフィールドワークを

ナレッジストックシリーズは、切り取ったメモをストックする“名刺サイズ管理術”を提案しているが、小山さんは、それを文化人類学でいうフィールドワークの手法になぞらえた。「フィールドワークは、情報に出合った瞬間にまず記録します。そして、あとから組み合わせていきます。このリングノートにはストックしておくポケットがあるので、あとで使うことを前提に情報をメモに書きためておき、いつでも抽出できるようにしておくと、企画が立てやすいでしょう。」さまざまなポイントを挙げてもらうなか、最後にもっとも重要な点として、こう付け加えた。

「ビジネスもフィールドワークと同じ。何も考えずに研究をする人がいないように、ビジネスにおいても常にテーマをもっておくことが大切です。この“名刺サイズ管理術”はそのことを意識させることができるので、知的生産性アップにつながると思います。」



■ 小山龍介(こやま・りゅうすけ)

株式会社ブルームコンセプト 代表取締役
1975年生まれ。京都大学文学部哲学科美学美術史卒業。大手広告代理店勤務を経て、サンダーバード国際経営大学院でMBAを取得。松竹株式会社プロデューサーとして歌舞伎やお笑いをテーマにした新規事業の立ち上げに携わった後、現職。ライフハック関連の書籍やコラムを多数執筆。また新規事業の立ち上げに関するコンサルティングや、ライフハックに基づく創造的思考法、時間管理術、勉強術、整理術の講演・セミナーを多数行っている。

著書に『IDEA HACKS! 今日スグ役立つ仕事のコツと習慣』(共著、2006年、東洋経済新報社)、『iPhone HACKS! 楽しんで成果を上げるハイセンス仕事術』(2008年、宝島社)、『整理HACKS!』(2009年、東洋経済新報社)など。