日本が観光大国になれないワケ

──「日本の観光をヤバくする。」というキャッチフレーズを掲げておられます。日本を観光大国にすることを目指しているそうですね。

星野 観光大国の条件は3つあります。「国に知名度があること」「交通アクセスが良いこと」「治安が良いこと」。この3つが日本にはそろっています。それにもかかわらず、外国人旅行者の受入数や競争力は、残念ながら世界30位前後にとどまっています。悔しいじゃないですか。これだけ魅力的な国土と文化がありながら、どうしてもっと観光産業が発展しないのか? そんな思いがあって、日本の観光大国化ということを私は掲げました。

──条件がそろっているのに、なぜ日本は観光大国になっていないのでしょう?

星野 供給側の問題、需要側の問題、その両方があると考えています。供給側の問題は、非常に単純に言ってしまえば、我々事業者側の努力不足です。日本には魅力的な文化や自然があるのに、それを上手に表現してきませんでした。原因の一つは、健全な競争が業界全体に欠けていたことです。「魅力をどんどんアピールすることで、ほかの観光地よりも多くのお客様に足を運んでいただこう」という上昇志向が弱かったように思います。

一方、需要における大きな問題は、レジャーが特定の時期に集中しすぎていることです。ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始、週末。これらの休日を足すとほぼ100日になります。1年間のうち100日間に需要が集中し、この時期だけホテルや旅館は軒並み黒字になります。しかし、残りの265日は赤字です。つまり、観光産業全体が根本的に赤字体質なのです。

需要の集中は、事業者間で競争が起こらない原因でもあります。考えてもみてください。ゴールデンウィーク中は、頑張っている旅館も頑張っていない旅館も満室という現象が起きます。連休が終われば、今度は頑張っている旅館も頑張っていない旅館もガラガラになる。どっちが得でしょう? そう、頑張らない方が得なんですよ(笑)。