仕事に一番大切なのは「感謝」の心
――これからの目標や夢についてお聞かせください。
桑田 まだいろいろ模索しているところですが、一つ言えるのは、これまで野球から大きな幸せを頂きましたから、野球に対して恩返しをしたいということです。プロやアマ、あるいは硬式、軟式を問わず、野球をやっている人すべてが気持ちよく野球に取り組める。そんな環境づくりに貢献していきたいですね。
――長年の活躍を見てきたファンは、指導者としてユニフォームを着る姿を楽しみにしていると思います。
桑田 もちろん監督は魅力的な仕事だと思うし、一度はやってみたいですよね。しかし、日本の野球界を本当に良くしようと思ったら、監督やコーチの立場では難しいのが実情です。球団経営やマーケティング、あるいは普及活動。まずはそういうことを大学院で勉強して、野球界全体を良くするためにはどうすればいいかをじっくり考えていきたいと思っています。
――最近は不況ということもあって、日本の若いビジネスパーソンは萎縮する傾向にあると思います。これまで飽くなき挑戦を続けてこられた桑田さんから、読者へ向けてメッセージを頂けますか?
桑田 人間、生きているということだけで素晴らしいんです。その原点に返ってみることが大切だと思いますね。多くの人が上を見過ぎなんですよ。右肩上がりというのは素晴らしいことなのかもしれませんが、ずっと上り続けることなんか無理ですよ。どこまで行くんですか。上ったら降りて、また上る。それでいいじゃないですか。
今はちょうど降りる時期かもしれません。それなら、この時期にコツコツ努力しておけばいいんです。そうすれば、次の流れが来たときに、それに乗って上がっていくことができるわけですから。今は勉強の時期。今は耐える時期。それならどうやって楽しく耐えようか――。そう考えればいい。思い詰めて落ち込んでいるようでは、先はますます暗いですよ。
――最後に、仕事において一番大切なことは何だと思われますか?
桑田 感謝の心、それに尽きると思います。自分の存在、自分の命は、世界に一つしかない尊いものです。それを理解できれば、人のことが尊重できるようになるし、感謝の気持ちが持てるようになります。僕自身、それを忘れてはいけないと思っています。
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桑田真澄(くわた・ますみ)
1968年大阪府出身。83年夏にPL学園高校の投手として甲子園のマウンドに立ち、チームを優勝に導く。以後、85年まで5季連続で甲子園出場。2度の優勝、2度の準優勝を果たす。86年にドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。沢村賞、最多奪三振、最優秀防御率、ゴールデングラブ賞など、数々の賞を獲得する。95年、右肘側副靱帯断裂のけがにより戦線を離脱。97年に奇跡の復活を果たし、2年連続で2桁勝利を収める。2006年にジャイアンツを退団し、米ピッツバーグパイレーツとマイナー契約。右足首靱帯断裂のけがを乗り越え、メジャー登板を果たす。08年3月現役引退。現在は、解説者として活躍中。






