「個」を磨き、自らの価値を高めよ!/吉越浩一郎氏(吉越事務所代表)
もっと動物的に、もっと野生的に
──20代、30代のビジネスパーソンに期待することは何ですか?

吉越 今、20代、30代の死因では自殺が上位を占めています。仕事が忙しすぎるのか、心の病にかかって、どうしようもなくなって死んじゃう。寂しい話ですよね。本来なら、自分で自分の人生をコントロールして、自立した「個」を確立し、もっと動物的に、もっと野性的になって、どんなところに放り出されても歯を食いしばって生きていけるような人間でなければならないんですよ。
今働いている会社が30年後どうなっているかなんて誰にも分からないんです。独立することも、会社における自分のバリューを上げることも考えず、会社のレベルに合わせて働いているだけでは生き残ってはいけません。自分のバリューを高めていくのは誰か? 自分です。自ら自分の「個」を磨き、自分の価値を高めていく努力をしなければならないのです。そういう人がどんどん出てきたら、日本の社会は絶対良くなっていきますよ。
これまで何冊か本を出しましたが、経営の話を書いているのに50代の読者が相対的に少ないというのが私の著書の特徴でして(笑)、20代によく売れているそうなんです。20代の人が私の本を読んでくださっているということは、現状がおかしいと考えている若い人たちがたくさんいるということでしょ。そういう人たちに大いに期待したいと思いますね。
──最後に、読者へのメッセージを頂けますか。
吉越 パワーハラスメントという言葉がありますね。あれは、海外にはない言葉なんです。なぜなら、そういった現象は日本にしかないから。日本では、リーダーの素養もない人がリーダーになって、どうやって部下を引っ張っていいか分からずに、無理やり「俺のやり方に従え」と強引にことを進めてしまうというケースが非常に多い。その結果がパワハラです。リーダーシップということに関して、日本は本当に情けないことになっているんです。
これを読んでいる皆さんには、本当の意味でのリーダーを目指してほしいと思いますね。優れたリーダーになる条件は1つです。リーダーの指示に従いながらリーダーをフォローする能力、「フォロワーシップ」をまずはひたすら磨くことです。部下の立場に徹することで、本来のリーダーとはどうあるべきかが見えてきます。それがなければ、決して本当のリーダーにはなれない。そう私は思います。
■吉越 浩一郎(よしこし・こういちろう)
1947年生まれ。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業後、メリタジャパンなどを経て、トリンプ・インターナショナルに入社。86年よりトリンプ・インターナショナル・ジャパンのマーケティング本部長となる。その後、代表取締役副社長を経て、92年に代表取締役社長に就任。「がんばるタイム」「早朝会議」「管理職の連続16日間休暇取得義務」など、数多くの斬新な社内ルールをつくり、トリンプの売り上げを100億円から500億円にまで伸ばすことに成功した。2004年には日本経済新聞社の「平成の名経営者100人」に選出される。06年に退任。著書に『デッドライン仕事術』(祥伝社新書)、『「残業ゼロ」の仕事力』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。

