「Yahoo!ボックス」は、他社の個人向けクラウドサービスとバッティングしない

元々は、ゼネコンで不動産関係のマーケティングや営業をしていたという鈴木さん。ネットマーケティングの力を感じ、AOLを経てヤフー株式会社に入社。

「Yahoo!ボックス」の中の人としてお話を伺うのは、コンシューマ事業統括本部マーケテイング部部長の鈴木勝さん。まず、「Yahoo!ボックス」のコンセプトを教えてください。

鈴木 大容量かつ、低価格を特徴とするオンラインストレージサービスです。ほかのサービスが一時的なデータの保存を目的としているのとは異なり、生涯のデータを半永久的に保存していただく場所として定義しています。このコンセプトが、これだけの大きな容量を用意した背景です。

ターゲットは、ある程度大きなデータを持っているユーザーになるのでしょうか?

鈴木 Yahoo! JAPANのサービスを利用されているユーザーすべてを対象に、幅広く設定しています。マストターゲットは、30代の男性でしょうか。家族や趣味の写真・動画データをパソコンにたくさん保存しているでしょうから。


確かに、デジタル一眼レフの所有者が増えてきたり、スマートフォンにため込んだ画像容量が増えてきたりして、どこに保存すればいいのか困っている人も多そうですね。

鈴木 昨今、スマートフォンの普及が進み、写真を撮る機会が多くなりました。端末のハードディスクに32GBの記憶容量があっても、アプリや音楽も一緒に保存していれば、すぐに足りなくなってしまいます。

「Yahoo!ボックス」はその問題を解決するために、iOSとAndroidのアプリを同時提供しました。アプリ内のカメラ機能で撮影し保存をすると、自動的に「Yahoo!ボックス」にも写真が保存されます。また、画像だけでなく、動画や録音した音声データを保存することも可能。保存容量が大きければ、いちいち「これは保存しよう」「この写真は消せばいいかな?」なんて考えることもなくなります。

親しみやすく、使いやすいインターフェースを意識したブラウザー版「Yahoo! ボックス」。

それは便利ですね! しかし、すでにDropboxやEvernoteといった他社の個人向けクラウドサービスがあります。勝算はありますか?

鈴木 利用用途が違うため、ほかのサービスとは競合しないと考えています。Dropboxは、パソコンとの同期がメイン。Evernoteは、メモやWeb上の記事などの保存がメインですよね。職場でも家でも頻繁に使う軽いデータはDropboxに保存し、普段あまり使わない大きいデータは同期が面倒なので「Yahoo!ボックス」に入れておく…と、住み分けできます。

現在、他社の個人向けクラウドサービスを利用している方でも、「Yahoo!ボックス」を新たなツールとして活用していただけるのではないでしょうか。またお互いのツールを結び付けて、Evernoteで保存した画像やDropboxに入れておいたオフィスファイルが、「Yahoo!ボックス」側にも保存される…なんてことがあってもいいと思います。

共存していく道もあるわけですね。これだけの大容量を提供するとなると、サーバー負荷の問題も出てきます。これまでYahoo! JAPANでは「Yahoo! フォト」や「Yahoo! ブリーフケース」といったストレージサービスがありましたが、これらのサーバーを統合しただけでは足りないのでは?

鈴木 そうですね。もちろん足りないので、データセンターの増強なども行っています。「生涯のデータを半永久的に保存」というコンセプトなので、データが消えてしまうようなことは万が一でも起こらないように設定しています。一度でもデータが消えると、利用者の信頼を失いかねません。一時のデータ移行などには使われても、バックアップとして利用されることは難しくなるでしょうね。

また、現在「Yahoo! フォト」と「Yahoo! ブリーフケース」を利用されているユーザーのデータは、自動的に「Yahoo!ボックス」に移行されます。これまでと同じような使い方ができるので、統合されてもこれまで通り使っていただけます。

他社のサービスとバッティングせず、最大1TBの大容量となると、外付けハードディスクと比較されることもありそうです。比較された際、「Yahoo!ボックス」のメリットを教えてください。

鈴木 まず最初に、クラウドサービスとしての利点です。これまでのオンラインストレージサービスで体感した方も多いかと思いますが、場所やデバイスを選ばずデータを読み書きできます。

そして、先ほどご説明したデータを失なわない安心感。パソコンや外付けのハードディスクですと、物理的な事故でデータが消えてしまいます。また、メディアの劣化問題も考えられるでしょう。CD-RやDVD-Rといったディスクに保存したファイルが劣化して開けなくなったり、ハードディスクでも10~20年ほどで消えてしまう可能性もある。その2つの点で、外付けハードディスク以上の大きなメリットがあると考えています。

現在は、1TBのプランを提供予定とのことですが、今後さらに容量が増えていくことも考えられるのでしょうか?

鈴木 もちろんです。今後は、動画保存の需要も増えていくのではと感じています。スマートフォンで動画が撮れるようになり、ホームビデオのデータを保存しておく場所も必要になりますよね。1TBでも足りなくなる人が出てくるはずなので、徐々に保存領域を広げていかないといけません。