― ありがとうございます。それでは、今回の著書『つるの式 伝える技術 新常識』を執筆されることになった経緯について教えて下さい。


鶴野  今回の本も、その元になったコラム「毎日がプレゼン!」も、もともと2004年8月にスタートした「つるの式コミュニケーションメソッド」と言う私のメルマガが元になっています。現在では不定期で配信していて、50本くらいになるんですが、購読者層は10代から50代くらいまで、外国の方までいらっしゃいます。反響もとても大きく、いまだに感謝や質問のメールなどを頂いていて、中には「全部印刷してファイリングして、付箋を貼って持ち歩いている」と言う方もいらっしゃいます。そのメルマガをこちらのサイト用にアレンジしたものが「毎日がプレゼン!」で、その数々のメソッドの中からも特に「伝える技術」に着目してピックアップし、アレンジし直したのが今回の本です。


― 他の著書でもコミュニケーションについて書かれている鶴野さんが、今回、より「伝える技術」に着目されている理由や、またこの本で特に読者へ伝えたいこと、この本の特徴などについて教えて下さい。


鶴野  やはり、「伝える」と言うことに関して困っている人、問題意識を持っている人、それでプレッシャーを感じている人が多いということですね。ビジネス書が売れないこのご時勢でも「コミュニケーション」に関する本は売れているものがいくつもあります。その理由は、やはり多くの人が、自分が今まで当たり前だと思ってやってきたことが当たり前ではない、通用しない、と感じ始めているからだと思います。


その中でも特に「伝える技術」が必要とされています。かつてと異なり、今はルーティンの仕事よりもプロジェクトベースでの仕事が増えています。これは、様々な職種や価値観の人、異文化の人と組む機会が増えていると言うことなんです。私の感覚で言うと「生まれた星が違う人」とも一緒に仕事をしないといけない(笑)。


世代間でコミュニケーションがとれない、という悩みはいつの時代も共通です。ただ、今はそれよりも、隣の席の人が、同じ世代で同じような生活、仕事をしている人なのに、実際には自分とはまるで価値観や発想が違うというケースが増えていて、皆そういうところでギャップを感じています。「わからない」「通じない」「理解できない」と思うわけです。


大抵の人は「言えば分かる」「分かり合える」と誤解しています。また「分かり合えないと次に進めない」と思い込んでしまっている。だから悩むんです。でも、世の中の半分くらいの人とは「分かり合えない」「通じない」と思った方が良い(笑)。「仲良くやる」ということが学校教育では重視されてきていますが、分かり合えなくてもプロジェクトは進むし、分かり合えずともプロジェクトは「進める」ことが大事。仕事ではこれが当たり前なんですが、忘れられがちです。だからこそ自分ができることや役割を周囲にはっきり「伝え」、それを認識してもらわないといけないのです。