育児には人材育成のヒントがいっぱい

― 仕事と社内の人間関係がうまくいくと、心に余裕が出てきますよね。

小室  そうなんです。それでやっと、自分の話ばかりせずに、恋人の話を聞いてあげられるようになりました。話を聞くうちに、実は同じ頃、彼も仕事で大変だったということがわかってきたんです。育児休業者職場復帰支援プログラムのアイデアを思いついたのも、ずっと議論に付きあってくれた彼のおかげなのに、そんなつらい時期に一方的に自分の仕事の話ばかりしていたなんて……と、反省しました。

それから、自分の話をするときには、“あなたのアドバイス通りにしたらうまくいったよ”など、“あなたのおかげ”を忘れないように心がけました。そうすると、彼も一緒になって私の成功を喜んでくれるようになったんです。実は、その彼が、今では私の夫だったりします(笑)。

― 朝の家事や育児は旦那さんが担当なさっているんですよね。すてきなパートナーだと思います。ところで、育児からライフハックを学ぶことはありますか?

小室  そうですね。子どもには人間のシンプルな本質が表れているから、子育てをしていると人間関係の基本がわかります。子どもって、毎日「大好きだよ」と抱きしめている前提があるからこそ、叱ったときに必死に言いつけを守ろうとするんです。叱ってばかりでは萎縮して動かなくなるけれど、ほめれば率先して動いてくれます。このことから、私は「ほめるマネジメント」が人の能力を引き出すことを発見し、人材育成やコンサルティングに活かしています。子育てには、人材育成の方法論が凝縮されていますね。

― では、男性も子育てをしたほうがいいですね。

小室  夫を見ていても、そう思います。子どもは、“ちゃんと聞いているよ”と何度もオーバーに表現しないと不安になるので、無表情だった夫がどんどん表情豊かになってきました。表情はコミュニケーションの基本ですから、いい変化だと思います。絵本も、最初は棒読みだったのに、今では夫なりに工夫しているようで、桃太郎でも、桃の代わりにイチゴもメロンも流れてくる(笑)。子育てで身についた表現力や忍耐力は、若手の育成に役立つのではないでしょうか。それに、子どもって日々成長していくし、本当に見ていて飽きないというか、楽しいです。男性も、こんな楽しいことに関わらないのは、単純にもったいないと思いますよ。

前編はこちら

ワークライフバランス手帳2010

仕事(ワーク)も生活(ライフ)も充実させたいすべてのビジネスパーソンへ!「小室淑恵のワークライフバランス手帳2010」(ディスカバー21)は「手帳を制するものがワーク・ライフバランスを制する」と話す小室淑恵さんプロデュースによる、自分の「仕事内容」と「生産性」の「見える化」を支援する手帳です。


■小室淑恵(こむろ よしえ)

株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長

日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2004受賞

06年株式会社ワーク・ライフバランスを設立。

自社で「ワーク・ライフバランス組織診断」や「休業復帰支援プログラムarmo(アルモ)」を開発。今年からはワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座を主催し、多種多様な価値観が受け入れられる社会を目指して邁進中。

著書『なぜ、あの部門は「残業なし」で「好成績」なのか?6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター)は累計売上5万部を突破。

内閣府「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」委員など複数の公務を兼任。

今春より金沢工業大学客員教授に就任。一児の母の顔を持つ。

株式会社ワーク・ライフバランス ホームページ

http://www.work-life-b.com/