「捨てる」決断が、仕事と家庭の好循環を生む

小渕育児・介護休業法の改正は、ぜひとも実現したいです。これによって男性社員も育休を取りやすくなります。「パパ・クォータ制度」(註2)なども検討に値する考え方ですね。ただ、制度がいくらあっても、周囲や自分の意識、環境のせいで利用できないのでは意味がない。このあたりの兼ね合いが一番難しいところです。

少子化対策などの活動で企業や経営者団体の方々とお会いすると、経営トップの皆さんの意識は思いのほか前向きであることに気付きます。やはり少子化は将来の企業経営を危うくするという危機感をお持ちだからでしょうね。ただ、何から手をつけてよいのかが分からないようです。


小室確かに具体的な方法が分からない、という経営者の方は多いですね。方法は意外と簡単です。現在の仕事を見直して無駄を省いたり、ITをもっと活用したり。ただ、それが実践できるようになるまでには少し時間がかかります。なぜなら、これまでの慣習が根強く残っているから。誰もが「やり方を変える」ことには強い抵抗を感じます。

これまでは、仕事はどんどん増やすもの、それで手が足りなくなったら人を雇えばビジネスが拡大していくという考え方でした。しかし、人口が減り、消費者のニーズも量より質に変化してきた今は、もう従来のような経営では立ち行かない。だったら、仕事に優先順位をつけて、必要のない仕事を捨てたり、優先順位を見直したりするべきです。多くの管理職は、この「捨てる」決断がなかなかできません。


(註2)パパ・クォータ制度
育児休暇の一定期間を父親に割り当てるもの。93年にノルウェーが導入し、北欧各国、ドイツなどに広がった。ノルウェーでは44~54週間ある育休のうち6週間は父親に割り当てられている。父親がそれを取得しないと父親への割り当て分の休暇が消失するため、全体の育休期間は短くなる。制度開始で男性の育休取得率は90%にまで高まった。ドイツでは「パパ・ママクォータ制」として、両親で育児休業を取得した場合、休業中の手当てを増やす仕組みを導入。それまでゼロに近かった父親の育児休業取得割合が18.5%にまで上昇した。日本でも労働政策審議会雇用均等分科会が「パパ・ママ育休プラス」として、現行の休業期間(1年)を2カ月程度延長する案を検討している。