最初から時間のスケールを短縮して考える

普段の仕事の効率とパフォーマンスを高めるために、川島さんは日頃からこんな工夫をしています。

「仕事全体にかかる時間の2~4割ぐらいで、80%ぐらいの達成度を目指し、その先はあまり深追いしないことにしています。会議では毎回必ず何かしら結論を出し、決定しきれなかったことなど次回までの宿題を明確にする。また、メンバーの専門性や能力を見極めて、うまく仕事を振ることも大切。何でも自分でやってしまうのでは、とてもワークライフバランスは実現できません。そのことが、結果的に部下の人材育成にもつながると思っています」。

また、仕事終わりに「ちょっと1杯、飲んでいくか」という“ちょい飲み”文化は、誘う側にとっても誘われる側にとっても、ワークライフバランスを実践するのには大きな障害。「私もお酒が好きですから、飲むなとは思いません。ただ飲むんだったら、それをあらかじめスケジュール化しておくこと。そうすればバランスは保てるはずです」。

何より重要なのは、時間のスケールを短縮して考えるタイムマネジメントだといいます。

「『土日は、仕事はできない。1週間は5日しかない』と最初に決めてしまうんです。スケールを濃縮すれば、それだけ密度が上がる。自分の時間感覚を変えてしまうんですね。慣れれば誰でも易しいことですよ」。

例えば、この取材の前日は、ちょうど14回目の結婚記念日だった川島さん。「部下が仕事のことでちょっと相談があると言ってきたのですが、『今日はダメ。ごめん』と断り、家へ直行。反対に、その前の日は仕事を優先すると決めていたので、家庭での時間は、すっぱり諦めました」。それでも週に平日3日は自宅できちんと夕食を取るようにしています。平均すれば、20時半ぐらいには退社する毎日です。

「仕事最優先という考え方の人のなかには、『今月は1回しか息子と飯を食べなかった』と誇らしげに話す人もいますが、これは自慢できることになるのでしょうか」。

そういう素朴な疑問が川島さんにはあります。家族と食事ができないくらい長時間働くことよりも、家族との時間を充実させるために効率よく仕事を切り上げるほうが、より良い働き方だという思いがうかがえます。