「ソーシャルメディア」はそれ自体が「イベント」

■ヒットなき時代に登場した新しいメディアに関心あり

鶴野充茂氏

撮影:菅野勝男

マーケティング・コミュニケーション業界の最新テーマに関する幅広い情報を集めて議論・交流する場が「All Communicators' Forum(=ACフォーラム)」です。今年で5回目を迎えますが、今回のテーマは「ソーシャルメディア時代のコミュニケーション戦略」になりました。(ACフォーラム公式サイト: http://ac-f.net

毎回、ボランティアで運営に携わってくださっているスタッフの方々と「今度のテーマは何にしましょうか」と夏頃から話し合うのですが、実は、今回はこれまで以上に悩みました。といいますのも、毎回テーマ探しのため「ヒット番付」などのトレンド情報を調べるのですが、運営委員会のメンバーがそろってわかる商品・製品がなかったのです。「これはヒットしたかも」「いや、それ知らない」といった具合でみんながヒット商品と感じられるヒット商品がないのです。

もしかして、我々がいま興味を持っているものはモノではないのかも――。こんな議論の中で急浮上してきたのがTwitter(ツイッター)やUstream(ユーストリーム)に代表されるソーシャルメディアだったのです。

昨年夏の衆議院総選挙あたりを機に、日本でもTwitterが注目され始めました。全国の人々が選挙速報や身の回りで起きていることの報告にこれを活用し、ネット上に最新情報をどんどんアップしていきました。ここにはマスメディアが関与していません。こうした人々の動きが今後メディアの作り手、受け手側にどんな影響を及ぼすのだろうか。私の本業が企業経営者に自己演出コミュニケーションをお手伝いすることなので、こうした新しい動きに興味がありました。他のスタッフも同じです。広告やマーケティングなどの本業でどう生かすことができるだろうか――興味津々です。

「ソーシャルメディアは参加者それぞれの使い方によって、見えている世界が違う」と言う方がいます。確かに、企業広報や宣伝、マスメディアなど参加者の立場によって同じTwitterでも、使い方はかなり違いがあるようです。そして、だからこそ、いろんな分野から人が集まるACフォーラムで話し合うには格好のテーマだと考えたのです。

■Twitterは「道具」じゃない。それ自体が「イベント」

鶴野充茂氏

撮影:菅野勝男


私は、昨年の夏から本格的にTwitterを使い始めました。一時期は、仕事にならなくなるほどどっぷり“はまり”ました。実際に使ってみて「これは今までのコミュニケーションツールとはまったく違う」ことが分かってきました。

これまでのネット上のツールにはホームページやメールマガジンがあります。これは一方的なお知らせをするのに便利です。さらに、このホームページ制作を簡便にし、個人からの情報発信をしやすくしたのがブログです。これらは、ネットコミュニケーションのための「道具」という表現がぴったりだと思うのです。

これに対して、Twitterはどうも「道具」とは違います。強いて言えば「イベント」でしょうか。TwitterやUstreamは情報発信がさらに簡単にできるようになりました。しかしこの便利さよりも、魅力はリアルタイムでの発信にあります。受け手側にとってもリアルタイム中継を受信できる面白さがあるんです。発信する参加者と、受信する参加者が多ければ多いほど共有できる情報が増え、共有できる時間が増えていく。これはツールというよりも、それ自体がイベント。Twitterを使うことが“イベントに参加する”ことと同じような側面があります。それが新しいんですね。